ベルギー・メヘレンで、モンテッソーリスポーツのルベンさんと会ってきました
アヤックスでヨハン・クライフとともに、育成にモンテッソーリを取り入れたルベン・ヨングキントさん。KID ACADEMYとの今後の提携について、ベルギーで話してきました。

10月23日、ベルギーのメヘレンという街で、モンテッソーリスポーツ(Montessori Sports)の代表、ルベン・ヨングキントさんとお会いしてきました。これからのKID ACADEMYとの提携について話し合うためのミーティングです。
サッカーとモンテッソーリ、ふたつの道
KID ACADEMYは2011年、幼児教室とサッカースクールから始まりました。プロサッカー選手として海外でプレーしていた創業者が脳科学と出会い、「子どもの可能性を最大限に引き出したい」と思ったのがきっかけです。
その後、療育、そしてモンテッソーリ教育へと学びを広げてきました。子どもが自分で選び、集中し、繰り返すことで力を伸ばしていく。モンテッソーリの考え方を深く知るほど、「これはサッカーの育成にも通じる」と感じることが何度もありました。
試合が始まれば、監督が一つひとつのプレーに指示を出すことはできません。どこへ走るか、誰にパスを出すか。決めるのは選手自身です。自分で考え、選び、最後までやり切る力。それはまさに、モンテッソーリ教育が幼児期から大切に育てているものです。
ルベンさんという人
ルベンさんは、もともとサッカーの世界の人です。
オランダの名門クラブ、アヤックスで育成部門を任され、ヨハン・クライフとともに、育成の現場にモンテッソーリの考え方とメソッドを取り入れました。クライフは、サッカー界で「神様」とも呼ばれる選手で、監督としても世界のサッカーを変えた人物です。
ルベンさんがモンテッソーリ教育と出会ったのは、アヤックスのアカデミーで育成に携わっていた頃でした。そこでモンテッソーリの原則を育成に取り入れ、アヤックスは2017年にヨーロッパリーグで決勝に進み、2019年にはチャンピオンズリーグで、史上もっとも若いチームのひとつとしてベスト4まで勝ち上がりました。
その後もギリシャのサッカー協会をはじめ、さまざまなクラブにモンテッソーリの考え方とメソッドを届け、世界的な選手を数多く送り出してきました。
モンテッソーリスポーツとは
モンテッソーリスポーツは、2018年にルベンさんとパトリック・オウデヤンスさんが立ち上げた団体です。目指しているのは、スポーツの力で、すべての子どもの教育をよりよくすることです。
大人中心から、子ども中心のスポーツへ
子どものスポーツは、気づかないうちに大人の都合で組み立てられがちです。勝つことが何より優先され、子どもには大人と同じような高い期待がかけられる。早生まれの子や、体の成長がゆっくりな子は試合に出る機会が少なくなり、スポーツそのものを楽しめなくなってしまうこともあります。
ルベンさんはTEDトークでこの問題を取り上げ、すべての子どもがスポーツを楽しめるように、子ども中心のかたちへ変えていこうと訴えています。勝ち負けや他の子との比べ合いではなく、一人ひとりが選手としてどう成長していくか。そこに目を向けるのが、モンテッソーリスポーツの考え方です。
大人の役割は、環境を整えること
モンテッソーリ教育では、大人は教え込む人ではなく、子どもが自分で育っていけるように環境を整える人です。モンテッソーリスポーツは、この考え方をスポーツや体育の場に持ち込みました。
先生・コーチ・保護者に向けて、モンテッソーリの原則に基づいたスポーツの環境のつくり方を伝える講座を開いています。AMIが認定する「モンテッソーリスポーツ基礎講座(Montessori Sports Fundamentals Course)」はオンラインでも受けられ、世界各地で講座やワークショップが開かれています。大切にしているのは、自立、仲間との協力、そして体を動かす喜びです。
AMIとともに、世界へ
モンテッソーリスポーツは、モンテッソーリ教育の国際本部であるAMI(国際モンテッソーリ協会)と2019年に正式に提携し、AMIの戦略的パートナーとして活動しています。AMIの事務局長も「スポーツは、モンテッソーリ教育のなかで長いあいだ見過ごされてきた」と、この取り組みに大きな期待を寄せています。
経済的な事情や性別、能力に関係なく、すべての子どもが質の高いスポーツ指導を受けられるようにする基金の取り組みも進めています。2026年8月には、オランダ・アムステルダムで「自立から、支え合いへ(From Independence to Interdependence)」をテーマにしたサミットを企画するなど、活動の場を広げています。
KID ACADEMYとの共通点
教室では、子どもが自分で活動を選び、集中し、納得するまで繰り返せるように環境を整えています。モンテッソーリスポーツがグラウンドで大切にしていることは、私たちが毎日の教室で大切にしていることとまったく同じです。
KID ACADEMYには、運動を通して子どもたちを支える放課後等デイサービス「KID ACADEMY SPORTS」もあります。サッカーから始まったKID ACADEMYにとって、モンテッソーリスポーツとの出会いは、原点に戻るような感覚でもありました。
メヘレンで話したこと
ルベンさんの話を聞くほどに、相馬れいこがAMIで学んできたこととの共通点が次々に見えてきました。子どもを中心に置くこと。一人ひとりの発達に合わせて環境を整えること。自分で選び、最後までやり切る経験を大切にすること。教室で積み重ねてきたモンテッソーリの考え方が、グラウンドの上でもそのまま生きている。そのことをあらためて実感する時間になりました。
そして、運動を通して子どもの力を高めていくことを、これまでとはまた違う、新しいかたちで引き出していける。その手ごたえを、ルベンさんと一緒に確かめることができました。
教室で大切にしてきたモンテッソーリ教育と、KID ACADEMYの原点であるサッカー。そのふたつが重なった先にどんな子どもたちの姿が見られるのか、私たち自身、今からとても楽しみです。
これから
KID ACADEMYとモンテッソーリスポーツは、今後一緒にプロジェクトを進めていきます。
脳科学から始まり、療育、モンテッソーリ教育、そしてサッカー。KID ACADEMYがこれまで歩いてきた道が、ベルギーの小さな街でひとつにつながったように感じています。
具体的な内容は、決まり次第このコラムでお知らせします。楽しみにしていてください。