数多くの研究と追跡調査で、ADHDを未治療のままでいた場合と治療した場合とでは、将来的にどのように差が開くかが分かってきています(1)。大まかに9つに分けられるこの評価点について詳しく見ていきましょう。全て、ADHDが未治療であった場合の例を挙げています。
9つの評価
(1) 治療目的ではない薬物の使用、依存症
例:アルコール依存症、タバコ、大麻、覚せい剤、非合法薬物、ギャンブル依存のリスクが高まる。
(2) 学業
例:成績、平均点、繰り返される同じ評価、留年回数、最終学歴などで望ましくない結果となりやすい。
(3)反社会的行動
例:退学、不良などの素行障害、犯罪、逮捕歴、拘留、入所、度重なる有罪判決などのリスクが高まる。
(4) 社会的な生活能力
例:良好な対人関係、恋愛、周りからの評価、結婚や離婚歴、趣味や活動などで望ましくない結果となりやすい。
(5) 職業
例: 雇用、兵役、転職、仕事内容の高度さ、社会的なステータスの高さなどで望ましくない結果となりやすい
(6) 自己評価
例:自分への評価点、セルフイメージ、自殺願望、自殺未遂、自殺率などで望ましくない結果となりやすくなる。
(7) 運転
例:事故、交通ルールを守れるかどうか、運転免許の停止期間、運転記録などで望ましくない結果となりやすい。
(8) 社会制度の使用率
例:犯罪などによる司法の利用、事故や怪我などによる緊急病棟の利用、借金などによる金融機関の利用などのリスクが高まる。
(9) 肥満
例:体重やメタボリックシンドロームなどリスクが高まる。
まとめ
未治療のADHDは、治療したADHDに比べて、これら9種の評価点で問題を抱えるリスクが高いことが分かっています。
治療に関しては、食事療法、薬物療法、社会スキルトレーニング、育児方法、ワーキングメモリトレーニングなどをバランスよく取り入れることで大きくリスクを下げられます。
参考文献
(1)A systematic review and analysis of long-term outcomes in attention deficit hyperactivity disorder: effects of treatment and non-treatment.
Shaw M