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環境要因から自分の子供がADHDのリスクを持つかを予測する方法

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ADHDは遺伝率が80%と高いことが分かっており、環境要因はおよそ20%ほどであるとされています。とはいえ、残りの20%の環境要因もまたADHDのリスクを高めることに変わりはありません。実際、ADHDの発現と関係がある遺伝子を持つ子供でも、逆境体験が少ないと、逆境体験の多い子に比べて症状が軽度で済むことが分かっています。一方で、逆境体験の多い家庭に育つとADHDの傾向が強まることも分かっています(1)。

 

では、一体どのような環境要因や逆境体験でADHDのリスクや症状の重さが高まるのでしょうか?

 

ある研究(2)によると「Rutter’s indicators of adversity (以下RIA)」と呼ばれる評価方法を使えば、非常に高い精度で重度のADHDとなるリスクが高いかどうかを予測できることがわかりました。その評価項目も6つと少なく、子育てをする上でとても参考になると考えられます。

 

それでは、一体どんな環境要因でADHDのリスクは高まるのでしょうか?

 

ADHD のリスク評価

 

1社会的なステータスが低い(Low social class)

2夫婦の不仲、離婚(Severe marital discord)

3大家族(Large family size)

4父親の犯罪歴(Paternal criminality)

5母親の精神障害(Maternal mental disorder)

6孤児院や里親に出されたかどうか(Placement in out-of-home care)

 

これらの条件を満たしていればいるほど、スコアが高まりそれだけ重度のADHDとなるリスクが高まるといえます。

仮に、全く同じADHD遺伝子を持つ一卵性双生児がいたとします。姿、知能、性格、癖など全て瓜二つです。

一人は逆境体験の項目を全て満たす家庭で育ち、もう片方は項目を一切満たさない家庭で育つとします。

この場合、お互いが成長して、15歳の時点で脳機能障害の程度にはかなりの差が開いている可能性が高くなります。

一方は重度のADHDで、もう一方は軽度かほとんど発現していないかもしれない、ということです。

 

それでは、それぞれの項目を詳しく見てみましょう。

 

社会的ステータス

 

社会的なステータスは主に最終学歴、職業あるいは収入によって分けられます。義務教育のみを終えている人と大学まで進学してから親になるのとではADHDのリスクが違うといえます。他には、収入が低い、定職に付いていないことなどもリスク要因を高めると考えられます。

 

夫婦の不仲、離婚

 

離婚やシングルペアレントはADHDのリスクを高めるといえます。愛着結合の不足、適切な育児ができない、夫婦仲の激しい口論や喧嘩を見て育つ、付き合う男を次々変えるシングルマザーなどが脳機能障害を引き起こすことは数多くの研究でも分かっていることから、ADHDの症状が加速すると考えられます。

 

大家族

 

RIAによると、子どもが4人以上いる家庭ではADHDのリスクが高まるとしています。兄弟がADHDだと、一人の時よりも二人でいる方がお互いのADHDの症状を深めることもあり、人数が多ければ多いほどそのリスクは高まるといえます。他には、望まない妊娠による出産もリスク要因と捉えられます。

 

父親の犯罪歴

 

薬物使用、暴力、強盗、放火、殺人、性犯罪、窃盗、詐欺などの前科を持つ男性であったかどうかによってもある程度ADHDのリスクを高めるかどうかを予測できます。

 

母親の精神障害

 

不安障害、人格障害、摂食障害、感情障害、統合失調症、飲酒や薬物使用など、母親に何らかの精神障害(ICD10 F00-F99)の有無によっても、ある程度はADHDのリスクを高めるかどうかを予測できます。

 

孤児院や里親

 

両親の同意があるなし関係なく、子供が里親または施設や孤児院に入れられたかどうかも、ADHDのリスクの高さを予測する指標のひとつです。

 

まとめ

 

・結婚する前はとりあえず、なるべく大学は卒業しておこう

・子どもの前ではケンカや口論はしない

・結婚相手は慎重に選ぼう。相手の親に直接会って、色々聞いてみるのも良いかもしれない

・子どもは4人くらいまでならセーフ

・とにかく、子どもと楽しくワクワクできる日々を過ごそう

 

(1)Interacting Effects of the Dopamine Transporter Gene and Psychosocial Adversity on Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Symptoms Among 15-Year-Olds From a High-Risk Community Sample

 

(2)Predicting ADHD by Assessment of Rutter’s Indicators of Adversity in Infancy

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