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ADHD児の脳によい睡眠と食(前編)

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 皆さんのお子様は、いつも夜何時にベッドに入り、何時に起きていますか?眠るまでに何をして、朝起きた時の機嫌はどうですか?

 

 日本は、世界的な平均と比べてみても、子どもの夜更かしが多いと言われています。原因はさまざまですが、その中の一つに、日本社会の大人は朝早くから夜遅くまで会社で働いている、という状況があるでしょう。親の帰りが遅いと、それにつられて、子どもの活動時間も夜遅くに食い込むことになります。

 そして、夜遅くまで起きていれば、朝スッキリ目覚めることができない日が多くなります。朝の寝起きが悪いと、お腹が空かない、朝食を食べる元気や時間がないとなり、幼稚園や学校にお腹を空かせて眠たい気分のままで登園(登校)しなければなりません。当然、授業に身が入るはずもなく、園や学校でボンヤリ、グッタリしながら過ごす機会が増えてしまうのです。

 

 また、不思議なことに、人間の体内時計は24.5時間という周期になっています。そのため、普通に過ごしているつもりでも、1日が24時間で進む毎日の中、残りの30分だけ体内時計は遅くズレてしまうのです。したがって、私たちは誰でも、放っておくと「夜更かしの遅起き」にズレ込みやすいわけです。

 

 さらに、発達障がいを抱える人たちの中では、睡眠障がいに悩む人も決して少なくありません。これは、定型発達の人々に比べて、発達障がいの人々の脳は、神経伝達物質の出る量が不足していたり、逆に過剰だったりと、アンバランスな状態にあるからです。簡単に言えば、ただでさえ脳の活動と休息のスイッチの切り替えに不具合が起きやすい状態にあるため、「夜更かしの遅起き」をつくりやすい環境との相乗効果で、余計にバランスを崩しやすいのです。

 

 こうしたことから見ても、「夜更かしの遅起き」は、健康的な生活を送るためには避けた方がいい習慣です。大人であれば、自分の眠り方については自分自身である程度のコントロールが可能であったり、自力で改善策を探すこともできるでしょう。しかし、ADHD児となると、話は異なります。なぜなら、ただでさえ子どもは自力で自分の睡眠を上手にコントロールできない上に、ADHD児ゆえの「育てにくさ」から、生活習慣を整える事が難しくなるからです。特に低年齢になればなるほど、大人の力によって、生活のペースをサポートしてもらわなければなりません。これはすでに多くの場面で言われていることですが、やはり日中を健康的に活動するためには、早寝早起きを意識すべきです。

早寝のコツ

 

1.テレビ、スマホ、パソコンなど、光や音の刺激は就寝より1〜2時間前には消すように

 ADHD児は特に、刺激を受けて脳が活性化するだけでなく、活性化した状態で悪いことや不安になることを考えがちなクセがあります。そのせいで、夜間に嫌な考えに囚われたり訳もなく不安になったりして、寝つきが悪くなりやすいのです。

 

2.就寝の1〜2時間前には、激しく興奮するような遊びはやめましょう

 たとえば、マットの上で飛び跳ねたり、くすぐり合いをするなど、大笑いしてはしゃぐような遊びは避けた方が良いでしょう。その代わりに、絵を描いたり、本を読む、幼児であれば、絵本の読み聞かせをしてもらうなど、静かにできる遊びをして、脳をむやみに刺激しすぎないことを心がけてください。



3.ベッドの中で本を読むときは、退屈なストーリーを

 ひとり読みであれ、読み聞かせであれ、眠る直前の本は、読んでいて眠くなってくるような、退屈なお話を選ぶようにしましょう。

 あるいは、低年齢の子どもであれば、読み慣れた静かなストーリーの絵本を選ぶこともオススメです。毎晩読むことで、それ自体が入眠の儀式になるからです。

 

4.血行をよくしましょう

 運動するにせよ、勉強するにせよ、身体には1日の疲れが溜まり、懲りとなって残ります。決して強く揉む必要はないので、たとえばお子様のふくらはぎをさすって温めてやったり、背中や肩を撫でてあげるだけでも、子どもの身体から緊張が取れて、リラックスできます。これは、マッサージとしてだけではなく、親が子どもの肌に触れることで安心感を与える効果もあるからです

 

5.気持ちが落ち着くような音を選んで流してみましょう

 個人によって好みの違いはありますが、テンポが遅く歌詞や歌声のない音楽を小さく流すことで落ち着きが得られる人もいます。また、換気扇の音のように規則的なもの、雨や波など、自然の音を選ぶのも良いでしょう。

 

6.眠るときに欠かさないアイテムを用意しましょう

 低年齢の子どもであればあるほど、眠るときにそばに誰かが居て欲しいと思いがちです。しかし子どもを早い時間に寝かしつける場合、親は子どもが眠りに落ちた後で、そっとベッドを抜け出すこともあるでしょう。より強い安心感を与えるために、たとえばお気に入りのヌイグルミや肌触りの良い毛布などを、毎晩必ずお供にさせます。眠る時に使うアイテムが決まっていればいるほど、それらを手近に置くことで「もう寝る時間だよ」と身体におぼえさせやすくなります。

 また、ADHD児の中には、身体を締め付けられる感覚に安心感を覚え、眠りやすくなる人も居ます。そういう子は、毛布でしっかりと全身をくるんで落ち着かせてあげましょう。

 

7.昼寝はなるべく取らないようにしましょう

 夜眠る時間が遅いと、昼間ぐったりするどころか居眠りをしてしまうことだってあります。すると、昼間の睡眠が尾を引いて、夜になっても眠くならないという悪循環が起きやすくなります。学校で、机に突っ伏して眠っているような学生が、前日の晩にしっかりと眠らなかったことは明らかです。こうした良くない生活リズムを強化しないためにも、たとえ休日であれ、まずは昼間眠らないようにすることが大事です。



 さて、以上が、早寝早起きを習慣づけるためのコツになります。誰もが知っている当たり前のことかもしれないけれど、それでも1〜7までの項目を毎日欠かさずこなすとなると、案外難しいのではないでしょうか。

 とにかく、眠る前には脳に過度な刺激を与えないよう気をつけて、次の朝に備えましょう。

 

 睡眠のリズムを改善して、早寝早起きが習慣づいたら、いよいよ朝ごはんを食べる元気も時間もしっかり取れるようになるでしょう。実は、薬物療法と同じくらい、毎日の食事もADHDの症状の改善に大きな効果があります。

 

 次回の記事では、ADHDの食事療法について解説します。

 

 皆さんのご家庭では、朝、子どもたちは何をたべていますか?

 

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