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科学によって分かっているしつけの4タイプと子どもへの影響

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 親が子どもをどのようにしつけるのかは、当然のことながら、子どもの成長に大きく影響します。子どものものの考え方、感じ方、自分をどう思うかといったことは、親からのしつけを通してかたち作られるといっても過言ではありません。

 そのことを踏まえて、親は子どもにどのようなしつけを実践していくのか、はっきりと決め、一貫性を保つ必要があります。というのも、子どもの発言や行動に対して、親がどのような反応を示し、どうやって発達を良い方向へ導くかといった事は、彼らの成長後の人生にとても大きな影響をもたらすからです。

 

 

 大まかにいって、しつけ方は4つのタイプに分けられます。これは別の回のコラムでも紹介したのですが、今回は改めてより詳しくそれらの違いを見ていきましょう。

 

1. 権威主義なしつけ

 

 権威主義なしつけ方をする親の思考パターンには、次のような特徴があります。

 

 ・子どもは監督されるべき存在である

 ・一度ルールを決めたら、「このルールに従うか、嫌なら出て行け」という発想を持つ

 ・子どもが、胸のうちで何を考えているのか、あまりじっくりと考えない

 

 もしも、これらの特徴に思い当たるふしがあるとしたら、あなたは「権威主義的なしつけをする親」だと言えるでしょう。このタイプのしつけを実践する親は、子どもがルールに従うのは当然の事であり、それに不満を感じたり文句を言ったりするなどもってのほかだと考える傾向にあります。

 「言われたとおりにしなさい」や「どうしてって、どうしてもだよ」などは、このタイプのしつけで親が言いがちなセリフです。特に、子どもがなぜそのようなルールが存在するのかについて興味や疑問を抱いた時に、このセリフは飛び出しがちです。親は、なぜそのようなルールが存在するのかについて子どもと話し合う気はなく、とにかく従わせることを優先しています。

 

 また、権威主義なしつけの下では、子どもが自発的に問題解決をしようと挑戦することも、邪魔者になることも許しません。親が作ったルールに対して子どもの意見など不要で、結果を受け入れることだけを求めるのです。

 さらに、彼らは子どもがルールを守れなかった時に、それを改善していく訓練をするよりも罰を与えることを選びます。何か他にもっと良い選択肢はなかったのかなどを、子ども自身に考えさせようとはしません。それよりも、自分の起こした失敗に対して、子どもが申し訳なさを感じることに時間をかけてしまうのです。

 

 このようなしつけを受けて育った子どもたちは、確かにルールに従うことは得意になるでしょう。しかしながら、彼らの従順さは、のちに大きな代償を払うことになるかもしれないのです。

 たとえば、彼らは長いこと“自分の意見”を尊重されてこなかったために、後々になって自己肯定感の発達に深刻な問題を抱えるようになります。

 一方、彼らは好戦的な人格に発達したり、暴力的な行動を取るようにもなりかねません。というのも、彼らは、“自分の未来を良くするためにはどのような選択ができるか”といったことを考える機会もなく育ってきたからです。ただ従順になることだけを求められ、自分で考えて自分で選んで行動するくせがついていないのです。そのため、彼らの視野は窮屈なルールを押し付けてくる親への不満でいっぱいになり、罰を回避するために、嘘がうまくなったり、反抗的になっていくのです。

 

2. 威厳あるしつけ

 

 威厳のあるしつけをする親には、次のような特徴があります。

 

 ・子どもとの良好な関係を築くために、親が多くの努力をしている

 ・ルールについて、なぜそのような決まりがあるのか、理由を説明する

 ・ルールを作って強制はするが、それに対する子どもの気持ちを考え尊重する

 

 これらの考え方に思い当たるふしがあれば、あなたは「威厳のあるしつけ」の実践者ということになります。

 威厳あるしつけを実践する親たちは、ルールを定めて守らせようとする一方で、子どもがそのルールをどう感じるかを無視せず、意見として取り入れようとする姿勢を持っています。要するに、子どもの考えや感じ方をとても大切にしているのです。

 このタイプの親は、子どもが問題行動を起こすようになる前に、それらを予防するためのしつけに多くの時間とエネルギーを費やします。特に、子どもが良い行いをした時には、褒めることやご褒美を与えるといった行為を通して、それを強化しようと努めます。

 威厳あるしつけを受けて育った子どもたちは、健全な発達を遂げ、本人たちも幸福を感じられる生活をするようになります。というのも、彼らは自分自身を尊重し、自分の将来を良くするための選択をする習慣がついているので、むやみにリスクを背負う行動を回避し、良い決断を下し、自分で行動が取れるからです。

 

3. 寛容なしつけ

 

 寛容なしつけを実践する親の行動や思考パターンには、次のような特徴があります。

 

 ・ルールは作るけれども、子どもにきちんと守らせられずにいる

 ・親自身、はっきりとした結論をあまり出さない

 ・親が積極的に介入しなくても、子どもは自力で物事を学び、良い方向へ向かうと思って  いる

 

 もしも、これらの考えに思い当たるふしがあれば、あなたは「寛容なしつけ」の実践者です。ひとことで言い換えてしまうならば、このような親は自分にも子どもにも「甘い」のです。相当に深刻な問題でも起きない限りは、自分から介入しようと腰をあげることはないのです。

 こうしたしつけをする親は、「子どもは子どもなんだから」と、簡単に許しを与えてしまいます。子どもに懇願されたらすぐに気を許して、特別扱いしがちなのです。たとえば、子どもをタイムアウトに入れたとしても、「良い子になるから」と口約束をされたら、当初の予定よりも早くタイムアウトを切り上げてしまうなどです。

 寛容な親は、親として子どもに接するよりも、友達のように接してしまう傾向があります。つまり、子どもの前で毅然とした態度を貫けないのです。そのせいで、子どもの問題は子ども同士で話し合うべきだ、などと丸投げしてしまったりします。一方で、子どもの悪い行いを正しい方向へ矯正するための努力は怠けてしまいます。

 

 寛容なしつけを受けて育った子どもたちは、後になって主に学業の面で苦労を抱えることが多くなります。さらに、上からルールを押し付けられることを嫌うあまり、問題行動にも出やすくなります。彼らの自己肯定感は低く、調査に寄れば、彼らの多くが悲しみや抑うつを抱えていると報告されています。

 

 また、彼らを将来的に悩ませる問題は、学業や精神面だけにとどまりません。健康上の問題にも発展するのです。というのも、寛容なしつけをする親は、ジャンクフードやお菓子を制限できず、子どもに与えがちになってしまうからです。また、歯を磨くことも習慣づけてもらえずに育つ場合もあるので、歯に問題を抱えてしまうことだってあります。

 

4. 無関心なしつけ

 

 無関心なしつけをする親の行動や思考パターンには、次のような特徴があります。

 

 ・子どもに学校生活や宿題のことをたずねない

 ・子どもがどこにいるのか、何をしているのか、誰と一緒か、といったことをあまり知ら

  ない日々が多い

 ・子どもと共に過ごす時間が少ない

 

 これらに思い当たるふしがあれば、あなたは「無関心なしつけ」の実践者です。このタイプのしつけをする親は、子どもがどのような日常を過ごしているかよく知らないパターンが多いのです。

 このタイプの家庭には、ルールというものはほとんど存在しません。子どもたちは、本来なら受けるべき養育者からの説明や興味関心を向けられることなく過ごします。親は、放っておいても子どもは勝手に育つものと思い込んで、コミュニケーションや、その他の基本的な交流に時間を費やさなくなります。

 無関心なしつけをする親の養育態度は、ほとんどネグレクトのようなものです。しかしながら、彼らはわざと子どもをネグレクトしているわけではないという点に注意が必要です。

このような家庭環境では、そもそも親自身が心身に問題を抱えていたり、アルコールなどの物質依存に陥っている場合があります。そのような親は、自分自身をコントロールすることもままならないため、子どもに本来最も必要なはずの愛情を注ぐ余裕がないのです。

 あるいは、単に子どもの発達に関する知識が不足しているというパターンもあります。他にも、ただ仕事が忙しすぎる、月々の支払いに追われているといった、育児以外の社会生活を送る上での問題に圧倒されて、子どもに目を向ける余裕がないのかもしれません。

 

 このタイプの親に育てられた子どもは、自己肯定感に深い問題を抱えたまま成長することになります。学校では、活発に過ごすことができず、頻繁に問題行動を起こすようになるでしょう。彼らはあまり幸福を感じられずに日々を過ごさねばならなくなります。

 

まとめ

 

 以上、しつけの4タイプを見てきた結果、どのしつけ方が最も良いかはすでにお分かりでしょう。ルールをきちんと守らせつつ、子どもの意見を尊重し、子どもの心身の成長に関心と愛情を持って接する態度、つまり「威厳のあるしつけ」が最適なのです。この方法には、厳しさと優しさが両立しており、子どもが将来的に健康的な生活を送れるようルールを徹底しつつも、服従は強要していません。親は、子どもの問題行動を矯正することと、子どもの自尊心を傷つけないことを、同時に意識する必要があるのです。

 

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