みなさんは子育てに関してどういった教育方針を持っていますか?
・褒める子育て
・ハグたっぷりの子育て
・親子が友達同士のようになれる子育て
・厳しい子育て
・抑圧的な子育て
・縦社会子育て
・スパルタ子育て
・体罰容認の子育て
・叱らない子育て
・ダメと言わない子育て
・体罰反対の子育て
・見守る子育て
・放任主義の子育て
・自己責任の子育て
・早期英才教育
・学歴重視の子育て
・地頭を伸ばす子育て
これら以外にもいろんなパターンが存在するかと思います。
本来、こういった子育ての方法などは子どもひとりひとりの脳のクセに合わせて変えていく必要があります。
例えば、
・重度の発達障害児であれば、「軌道修正の子育て」主義
・ADHDであれば「1叱って10褒める」主義
・自閉症であれば、「ハグと褒めたっぷり」主義
・定型発達であれば、「賢さの後伸び」主義
・将来性十分な子であれば、「ドリームサポーター」主義
と大まかに分けて、自分の子供がどこに位置するかで戦略を変えていく必要があります。
それぞれの教育方針の違い
それぞれ簡単に説明をしますと以下の通りです。
「軌道修正の子育て」
重度の発達障害児であれば、まずはどこに弱点を抱えているのかを探ります。その弱点に応じて、栄養面、生活環境面、運動面、療育面、親子関係などについてしっかりと話し合い何を変えていく必要があるかの情報交換を行います。
「1叱って10褒める」
ADHDの場合、脳機能を高めることと併行して問題行動の消去も活用して行くことになります。大怪我や人を傷つける可能性がある行動は消去し、すこしでも良い行いをしたら徹底的に褒めることが重要となります。
ADHDであれば、ほめられてもなかなか喜びを感じにくいことが多いです。となると、ちょっと褒めるのではなく、大げさに愛情をたっぷり込めて褒めることが重要になります。そこまでしないと、親の言葉が心に響かない「脳のクセ」をもっています。
1回叱ったら、ほかの機会に10回は褒める必要があります。
「ハグと褒めたっぷり」
自閉症の場合、他人への関心を持ちにくいことから、普段から他人と話す練習ができなかったり、他人と遊ぶ練習が圧倒的に足りないまま育ってしまいます。そうなると、大人になっても人と話すのが苦手であったり仲良く遊ぶことが苦手となります。話すことや、他人と遊ぶということは勝手に伸びることはありません。練習や実践を通じて伸びてきます。
そのためには、まずは他人に興味が持てる様にトレーニングをする必要があります。
「賢さの後伸び」
定型発達の子となると、あとは細かい弱点が無いかを見極めてそこを伸ばす。それと同時に、夢を見つけるようにリードすることが重要となります。
「ドリームサポーター」
ここまでくると、ほとんど完成形の状態です。親がすべきことは、子供の発達の邪魔をしないことです。子供が目標に向かって突き進む姿をただ応援することが重要となります。良かれと思ってうっかり邪魔をすると、それはドリームサポーターではなく、ドリームキラーになってしまいます。
子供は自然にも発達する
子供は発達する存在なので、適切に方法を選んで行けば発達障害児でも改善に持っていくことは可能です。
ADHDの場合、脳の発達が定型発達の子に比べると3年ほど後ろにずれています。つまり、6歳のADHDの場合、3歳児のセルフコントロール機能を持つことになります。生活年齢は6歳ですが、行動や自分の行動や感情をコントロールする能力が3歳児と同じくらいなので、どうしても多動性や落ち着きのなさなどが目立ってしまいます。
自閉症の場合は7年ほど後ろにずれており、他人の気持ちを理解する能力が11歳ころに完成します。
定型発達の場合、他人の気持ちを理解する能力は4歳ころに完成されます。
自閉症とADHDが併存している場合、単体の症状に比べて発達段階のずれがさらに目立ってしまいます。
ですが親との連携により、早期介入がスムーズに運べば以下の流れをたどって改善、あるいは発達します。
ASD+ADHD(ADHDの傾向にある自閉症)
↓
ADHD(多動、衝動性優位のADHD)
↓
ADD(不注意優勢型のADHD)
↓
定型発達
↓
将来性十分
このように出世魚のように変わっていくので、当然その時々に応じて子育ての戦略も変えていく必要があります。
仮に、定型発達の子供に「軌道修正の子育」ばかりしていても、軌道を修正するばかりでなかなか将来性の向上には結びつきません。
逆に、重度の発達障害児に「ドリームサポーター」の戦略ばかりとっていても、脳の機能の改善にはなかなか結びつきません。
このあたりは見極めが難しい場合、専門家に意見を求めることが一番無難です。
「先生、ウチは〇〇主義ですから」
これを口癖に様に唱えている人はいませんか?あるいは周りにそんな方はいませんか?
ある親が、先生から家庭の教育方針ついて痛いところを指摘されて、思わずムキになって言い返してしまった。そういったことがたびたび起こる様であれば、もしかしたら子供にネガティブな影響を与える可能性があります。
例えば、こんな教育方針を持った方がいたとします。
「子供の自己責任」
子供が自宅のピアノにペンで落書きをした、あるいは傷をつけたとします。
みなさんならどういった対応をとりますか?これに関しては人それぞれかもしれません。
ただ、中には良くない対応方法もあります。
例えば、「物の管理は自己責任」です。
人間は他人が怪我をしているのを見ていると、自分まで怪我をしている様な気がしてとても不快な思いをします。
これは、実際に脳の中でも痛みを感じるエリアが反応していることが分かっています。つまり、他人の怪我を見ているだけで実際に自分の脳もその痛みを感じているということです。
この「他人の痛みを知る」という機能は、実は人間同士に限らず、車や本やコップなど、物に対しても同じ反応をすることが分かっています。つまり、もし子供がかんしゃくを起こしておもちゃを壊した場合、その壊れたおもちゃを見て私たちは痛みを感じることができるという事です。
もし、頑張って作ったご飯がほとんど残されていたら「せっかく作ったのに、もったいない」と痛みを感じます。
もし、子供がおもちゃを壊したら「せっかく買ってあげたのに、もったいない」と痛みを感じます。
「ものは大切にしよう」
というルールを使っている家庭は多いかと思いますが、これは言い換えると
「他人を大切にしよう」
「家族を大切にしよう」
「他人の心を傷つけない様にしよう」
と同じ意味であると言えます。私たちの脳はその様にして進化してきました。
もし、「他人の痛みを理解する」機能が十分に働かない、あるいは育たないとどういうことになるのでしょうか。
自分勝手な人に育つ、わがままに育つ、協調性が無い人に育つ、他人が傷ついていてもなんとも思わない人に育つこともありえます。
最悪のケースだと、反社会的な人へと育ってしまい、重大な犯罪を犯してしまう可能性もあります。
となると、「物の管理は自己責任」に新しく追加するルールがあるとしたら「物の管理は自己責任、ただし物は常に大切にしよう」となります。
他に注意しなければいけない点があるとしたら、それはクセです。
家で行う悪いクセは、保育園や学校などでも行うことがとても多いです。
例えば
・廊下をスライディングする
・廊下を走り回る
・他人のものを勝手に使う
・物を乱暴に扱う
・他人を叩く
・飛び跳ね回る
・教室内で大声をだす
これらを学校などから指摘された親は、「うちは〇〇主義なんです!」言い返すこともあります。
中には教師の指摘を聞き入れて対策を考える親もいます。ですが、一定数どうしても受け入れられないという方もいます。他人から指摘されていい気はしないので、思わずイラっとしてしまうのも自然な反応でもあるので仕方がないとは思います。
ですが、なるべくならそれを冷静に受け止めて自分の価値観や教育方針を点検する材料とすることが本来は望ましいです。常に同じ教育方針をとることは無理があるので、何か問題があった場合は、「これは変化のためのチャンスなのだ」と捉えてもよいでしょう。
もし気づかずに間違った教育方針のまま育てていたら、あとでしっぺ返しがこないとも限りません。