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6タイプのADHDとは?障害されている脳の部位がそれぞれ違っている!

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子どもの成長や、交友関係、学校での生活ぶり、成績、その他諸々。子育てをしていく上で、親の気がかりは多くなるものです。とはいえ、それこそ小さな赤ん坊でもない限り、24時間ずっと子どもにつきっきりで面倒をみるのは難しい。そんな時、親の目の行き届かない場所で、子どもがトラブルに巻き込まれたり、逆にトラブルを起こしたり、学校での素行の悪さを教師から指摘されたり。そんなことが起きたら、親はどんな行動を取るべきでしょうか。

 あるいは、特に周りから指摘された訳ではないけれど、親御さん自身が子育てに何かしらの難しさを感じて困っている時、どこに助けを求めれば良いでしょうか。

相馬ハウスでは、子どもの発達に関するプロが、子どもたちが育つ中で抱えるさまざまな問題を、「発達障がいの改善」という方法で解決に向かわせる教室です。

今回の記事では、発達障がい(ADHD)の6つのタイプ分けを紹介します。次に、前回のコラムに続いて、ADHDに対する三つの主な治療法の内の一つである、心理学的治療法について紹介します。

ADHDには、6つのタイプがある

タイプ1:最も一般的なADHD(主に、脳の前頭前皮質の活動が低いタイプ)

 集中力が低く、注意をそらされやすく、ルールや順番を作ったり守ることが苦手。落ち着きがなく多動。衝動性が強い。たとえば、幼稚園や学校で、落ち着いて座ることができず、すぐに席を立って歩き回ったり、すぐに周りと喧嘩ばかりして、周りからは「わがままで反抗的」と思われている。

 

タイプ2:不注意型ADHD(タイプ1と同じく、前頭前皮質の活動が低いが、ドーパミンのアンバランスの影響を受ける脳の部位は、1と異なる)

 集中力が低く、いつもダルそうにしていて、動きが鈍い。物事に対する意欲も低くて、周囲からは「ボンクラ」「面倒くさがり」だと思われがち。すぐに集中力が切れてしまうため、学校の課題などをやり遂げられないことも多い。そういったことが重なって、自分を不出来なダメな子と思い込み、自尊心も低い。本人も、やる気が出ないことに苦しんでいるが、どうしたらいいかわからない。

 

タイプ3:過集中型ADHD(脳の、前帯状回の活動過多)

 一度注意を向けてしまった事から気をそらすのが下手。嫌な考えに取り憑かれてしまう。困った行動の繰り返しをしてしまう。こだわりを持っているので、自分のルールから外れたことが起きると気分を損ねる。柔軟な発想ができずにクヨクヨする。理屈っぽい反論をしてしまう。他人の意見を聞かない。

周りからは、「頑固」「気にしすぎ」「完璧主義」だと思われている。

 

タイプ4:側頭葉型ADHD(前頭前皮質の活動低下、側頭葉の活動低下)

 イライラしやすく、ささいなことでひどいかんしゃくを起こす。機嫌がコロコロと変わり、記憶力が悪く、学習障害を抱えていることもある。また、過去に頭を怪我したことがある人にも、このタイプが多い。周囲からは、「怒りっぽい」「嘘つき」「乱暴者」などと思われている。

 

タイプ5:辺縁系型ADHD(慢性的な前頭前皮質の活動の低さ、深部辺縁系の活動の過剰)

 ADHDにありがちな不注意や落ち着きのなさに加え、マイナス思考、不機嫌、エネルギー不足、落ち込み、無力感や罪悪感を抱えている。人との付き合いが少なく、孤立しがち。だらしがなくて、よく散らかす。親からは、部屋が汚いとか、宿題を終わらせることができないといった理由でよく叱られている。元気がなく、食欲がない。眠すぎたり、逆にうまく眠れないといった問題を抱えている。

 

タイプ6:火の輪型ADHD(脳の皮質全体の活動過多)

 怒りっぽく、他人に対して攻撃的。早口でよく喋る。大きな音、光、服の感触や、人に身体を触られることに対してとても敏感である。気分のムラが激しく、明るかったかと思うと、沈み込む時期がある。衝動的になったり、意地悪になったり、残酷になるなど、行動や感情の波が激しい。

周囲からは、「怒りっぽい」「何をするか分からない」などと思われている。

以上が、ADHDの6つのタイプの特徴です。子どもの問題行動に手こずっている親御さんは、ぜひ、自分の子どもがどのタイプに一番近いか、見当をつけてみて下さい。そうすれば、本人が大人を困らせるためにわざとやっている訳ではない、ということが、よりはっきりするのではないでしょうか。

 

ADHD治療の三つのアプローチ

その2:心理学的治療

(※「その1:生物学的治療」に関しては、前回のコラムを参照)

 

(1)ADHDやADHDについて学ぶこと

 ADHDを改善するためには、何よりもまずADHDについての正しい知識を得ることが大切です。ADHDにはどのような症状があって、そのために家庭や学校にどのような影響が出るのか、家族との関係はどうあるのが望ましいのか。また、ADHDを抱える本人たちは、どのようなことに苦しみ、自己像や自己評価をどのように作っているのか。正しい治療やサポートを受け、良い関係性を築くためにも、そういったことをよく知る必要があります。

 

(2)悲観的な考え方を変えていく

 ADHDを抱える人は、平均的な人々よりも「悪い考え」「イヤなニュース」「恐ろしい不安」に惹きつけられがちな人が多い、という特徴があります。というのも、タイプにもよりますが、多くのADHDは脳の活動の低さに困っているからです。ちゃんと働いてくれない自分の脳を、恐ろしい考えや危機感を覚えるニュースに触れさせて、無理に刺激して叩き起こす、そんなクセがついているのです。これは、ADHDの人々ならではの工夫でもあるのですが、この思考パターンが身についてしまうと、うつ病のリスクが高まります。また、物事を悲観的に見すぎるせいで、周りにイヤな話ばかり振ってしまい、周囲から嫌われ、孤立しがちになるリスクもあるのです。

 

(3)生物学的な治療を行った上での心理療法

 心理療法は、ADHD治療の方法として古くからあります。しかし、それは生物学的な治療(投薬、サプリメントの摂取、食事や運動など生活習慣の改善)と並行してこそ、効果を発揮します。きちんと薬を飲み、生活を立て直しながら、心のケアをしていくということが有効です。

 

(4)今までの、間違った思い込みを打ち破る

 ADHDを抱える人に多いのが、自分がADHDだと診断される前に、すでに出来てしまった自己イメージをなかなか捨てられない、という問題があります。というのも、ADHDだと気づかれる前までに、学校の勉強についていけない、周りの人間とうまくやっていけないといった多くの失敗体験を積み重ね、心が傷ついているからです。「どうせ自分は頭が悪いから」「私は嫌われ者だから」そういった、低い自尊心と自己評価を自分で信じ込んでいるために、治るわけがない、治さない、という態度になってしまうのです。これは、治療を進めていく過程で大きな障壁になります。

 まずは、医学的な治療で効果を出して、その次に、これまでの間違った思い込みと、そのせいで低くなっていた自己評価を直していくことが大切です。

 

(5)生物学的治療の必要性を受け入れる

 明らかにADHDの症状を抱えていても、「自分が病気であること」あるいは、「自分の子供が病気であること」を認めたくない、という方は少なくありません。特に、医者から薬を出されるという状況は、まるで自分ないし自分の子どもが、欠陥を抱えているかのように思えて、抵抗感を覚える人もいるでしょう。しかし、そこを受け入れて、まずは生物学的治療を行わなければ、その他の治療の効果も現れにくくなってしまうのが現実です。

 

(6)パーソナル・コーチング

 「コーチング」そのものは、何も発達障がい者のためだけにある訳ではありません。ここでのコーチングは、ADHDを抱える本人が、他の人(コーチ)の力を借りながら、自分の内面を客観的に見つめる目を養うことを言います。特に、ADHDは計画的に物事を進めるのが非常に苦手なため、誰かが目標設定や目標達成のための計画作りを手助けしてやる必要があります。

 

(7)腹式呼吸

 ADHDを抱える人々は、他の人々よりも不安を感じやすく、怒りや衝動を抑えるのが苦手です。そこで意外にも有効なのが、横隔膜を使った呼吸法です。とてもシンプルですが、激しく波打つ感情や、抑えられない衝動を落ち着かせる効果は確かにあります。

以上が、ADHD治療の三つのアプローチの内の二つ目にあたる、「心理学的治療」のポイントでした。次回は、最後の一つ、「社会的治療」のポイントを紹介します。

もしお子さん、あるいは家族内にあげた特徴に似ている方がいる場合、遺伝的にもADHD的の傾向が出やすい可能性があります。その場合、是非とも相馬ハウスへご相談ください。

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