1008組みの夫婦から得たテレビ視聴に関するデータを詳しく分析したところ、0歳から2歳までの間にテレビをみて育った子どもの言語能力が平均よりも低いことがわかりました。
一方、3歳から5歳の間にセサミストリートを見て育った子どもの言語能力は高いことが分かっており、3歳からは少なくともセサミストリートは見せても良いと考えられます。それどころか、見せた方が見なかった子に比べて言語能力が高かったので、見せる方が得をするのかもしれません。
さらに分かったことを以下にまとめます。
読み聞かせで12ポイント上がる
毎日一回は本の読み聞かせをされた子供で・・・
・生後8ヶ月から16ヶ月の子供は、読み聞かせが少ない子に比べてCDI*の値が平均7ポイント高かった
・生後17ヶ月から24ヶ月の子供は、読み聞かせの少ない子に比べてCDIの値が平均12ポイント高かった。
つまり、本の読み聞かせは言語能力を高めるのにはうってつけと言えるでしょう。それでは、テレビを見ていた子はどうでしょう?
*MacArthur-Bates Communicative Development Inventory (CDI) 幼児や子供の言語能力を測るためのテスト
テレビで17ポイント下がる
毎日1時間テレビを見ていた子供で・・・
・生後8ヶ月から16ヶ月の子供は、テレビを見ていなかった子に比べてCDIの値が平均17ポイント低かった
つまり、2歳までにテレビを毎日1時間見ていた子供は言語能力が非常に低下していたことが分かりました。
ちなみに音楽だと変化なし
0歳から音楽を聞いて育った子は・・・
・日常的に音楽を聞いていることと、言語能力の高さは無関係だった。つまり、音楽で言語能力が伸びることはあまり無い。
やはり言語能力は親が直接関わることが重要なようですね。
3歳から5歳はとにかくセサミストリート
570人の子供の10年に及ぶ追跡調査によって分かったことは、3歳から5歳までの間にセサミストリートを見ていた子供は高校生の時点で平均よりも非常に高い言語能力があることが分かっています。他には、不思議なことに科学の成績も良いことが分かっています。GPA*のスコアの平均値が高いことも分かっています。
*GPA(Grade Point Average)とは、各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値
しかも、前頭前野の機能が高まっているのか以下の項目も高いことが分かりました。
・自己抑制機能
・創造性
・目の前の快楽よりも、長期的な目標への達成に価値をおく
・読書好き
・自発的な勉強活動の多さ
他の教育的では無い番組では効果がなかった
セサミストリートと並んでとても効果が高かった番組が「Mister Rogers’ Neighborhood 」と呼ばれる番組でした。子供向けに作られた教育的な番組で、視聴者と対話するスタイルの番組で、とてもゆったりとしたペースのものです。
特徴としては、場面や映像の激しい切り替えはほとんどなく、ストーリーの自然な成り行きでカフェ、道路、公園、バス、工場見学などと場面が変化することでした。
一方で、場面の切り替えの多いベビーアインシュタインなどを見て育った子供の言語能力が平均よりも低くなることが研究で判明し、訴訟問題にまで発展したケースもあります。
まとめ
・0歳から2歳頃まではテレビを見せない方が良い。さもなければ言語能力が下がってしまう。
・3歳から5歳であれば、場面の切り替えが多くない教育番組がおすすめ。言語能力、自己抑制機能、学力や創造性などが高まる。
・読み聞かせは0歳からでも問題なし。毎日一冊読むだけでも効果があり、将来的には言語能力が高まる。