人見知りが多く、不安がなかなか消えないと言う子どもは少なくありません。
発達障がいの子どもたちも、不安が強いという特徴を持つことは非常に多いです。
今回、これに関しての脳科学と改善方法について解説をします。
不安の源
不安と言う感情は、進化的に見て古い脳(旧脳)で生み出されています。旧脳の活動が高いと、不安が強かったり、こだわり行動が強かったりすることがあります。
そんな旧脳の暴走を見張っているのが、新脳である前頭前野です。前頭前野が不安を抑制したり、注意の切り替えなどにある程度関わっています。前頭前野がきちんと機能するおかげで、人間は様々な本能的な欲求、怒りや不安などを抑制して理性的な判断や行動が取れるわけです。
この前頭前野は、事故や脳震盪などによって傷つけられることがあります。そうなると、ADHDのような症状が現れる場合があります。例えば、自己抑制機能が低下したり感情のコントロールが難しくなったりするなどです。
より具体的には、前頭前野の機能が低下すると
・頑固になる
・感情的になる
・怒りっぽくなったり不安が強くなる
・本能的な欲求を抑えるのが難しくなる
といった症状が現れます。
では一体どうすれば、これらの症状を予防ないしは改善できるのでしょうか。
前頭前野を鍛えておく
不安が旧脳による本能のうちの一つであり、前頭前野は新脳として本能を抑制する機能を持つのであれば、前頭前野の機能を高めておくことが重要となります。ワーキングメモリを3歳頃から鍛えておく、自己抑制機能も3歳頃から鍛えておくなどです。
もちろん正しい「しつけ」も重要で、これをしっかりとしていないと大きくなってからワガママになったり、すぐかんしゃくを起こす人になりかねません。
ソウマハウスでは前頭前野の機能の活性化と「しつけ」を同時にバランスよく実践しており、日々の関わりの中でお子さんそれぞれに合った教育方針を見つけるようにしています。
脳神経の伝達スピードを高めておく
これは、ご家庭でもできるかと思います。脳神経の信号のやりとりを速めることで、抑制信号の伝達がスムーズに進みます。ですが、伝達が障害されていると、前頭前野が十分に機能しなかったり、はたらきが遅くなってしまう可能性があります。そうなってしまうと、不安を抑制したり感情のコントロールが効かないということが起こります。
この、脳神経間の信号の伝達スピードを早めるための栄養がDHAやEPAなどです。具体的には「魚油」などがおすすめということになります。他には、亜麻仁油もおすすめです。亜麻仁油にはDHAの素となる物質が多く含まれており、これを摂取すれば体内で必要な分だけ合成して脳に届けてくれます。
過活動を抑える
これもご家庭でできることの一つになります。自己抑制がうまくいかない、すぐに癇癪を起こすといった子どもは、不安を感じるエリアである旧脳が過活動状態にあるので、そこを鎮める必要があります。鎮める方法として考えられるのがGABAの摂取量を増やすことです。GABAは脳活動の抑制と関係物質で、これが十分にあると脳の過活動をある程度は抑えてくれます。発達障がいの有無に関わらず、GABAの摂取量を増やすだけでもイライラやかんしゃく、不安などが緩和される場合もあります。
また、行動や感情の切り替えが難しい場合は、セロトニンを増やすような食事を心掛けてください。タンパク質を摂取するのが良いのですが、セロトニンを増やすためには、それと同時に運動もしなければなりませんし、日光にあたる必要もあります。
ただし、順番は先にGABAで過活動を鎮める、そのあとセロトニンを増やして行動の切り替えをスムーズにさせてください。この順序を逆にしてしまうと、むしろかんしゃくやイライラが増える可能性があります。