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ADHDに関して現在わかっていること

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ASD(自閉症スペクトラム)は遺伝と環境の掛け算で症状として現れるということが分かっています。

 

では、ADHDの場合はどうでしょうか?

今回は、ADHDに関してわかっていることと、未治療のままだとどういったリスクを抱えるのかを簡単にまとめます。

 

ADHDの原因とは

 

ADHDもASDと同じで、遺伝と環境の掛け算によってその症状がおもてに現れることがわかっています。具体的には以下の通りです。

 

・両親からの遺伝の組み合わせ

・頭を強く打つなどの脳への直接的な衝撃

・食べ物のアレルギー反応など

・鉛中毒

・酸素不足

・感染症

 

などが主な原因ですが、これ以外にも数多くの環境要因があると考えられています。

 

ADHD未治療だとどういったリスクを背負うか

 

アメリカの報告によると

 

・33%が高校を中退

・52%が覚せい剤やアルコールなどの物質使用

・仕事が長続きしない

・良好な結婚生活が続かない

・少年院や刑務所への入所

・肥満

・アルツハイマー病

・対人関係などのトラブル

 

などがリスクが高まり、QOL(人生の質)が低下する傾向にあります。

 

一般の人とは違う興味深い特徴とは

 

ADHDの人々の中には、集中しなければいけないと思えばうほど頭が真っ白になるという特徴をあらわす方が一定数います。

 

これはつまり、教師から「能力があるのに本気を出さない」「実力を発揮できずにいる」といった評価が付いて回るということでもあります。

本人は頑張らなければいけない時ほど頭の中が白くなってしまい、平時とは異なる軽度のパニックにおちいった状態でテストなどを受けることになります。結果的に、普段なら問題なく解ける問題もいざという時に限って解けないことがあります。

 

しかしながら、こういった困った特徴もドーパミン(後述)が普段から十分に出ていればかなり抑えられるので、脳内のバランスを整えるのは非常に重要であるといえます。

 

3年遅れて成長しているから、12歳すぎたらADHDは治る?

 

ADHDの場合、脳の発達が3年遅れで始まるので周りについていくのが難しい時期が3年間はあります。そして、12歳頃にだいたい周りの子らと同じ程度に脳の発達が追いつくので、ようやく落ち着きなども身につくようになってきます。

 

しかし、一定の割合でADHD傾向を残したまま成人する方もいます。その理由は環境とエピジェネティクス(遺伝子スイッチのオンオフ)によるものと考えられますが、悪化すれば人格障害などになることは分かっています。

 

そういった子ども達には、適切な環境を整えることと、理解のある保護者や教育者が安全基地のように彼らをケアする必要があるのは確かです。

 

ADHDに必要となる脳内ホルモンとは

 

・ドーパミン

・セロトニン

・GABA

 

これら三つがバランス良く適切にキープされている状態を目指すのが改善への一歩です。

 

ドーパミンとは、集中力や意欲に関係しています。これが十分に分泌されていないと、集中力が切れたり自己抑制が難しくなり、結果的に注意散漫や多動といった症状が現れます。

 

セロトニンとは、出すぎたドーパミンやノルアドレナリンを抑制する作用をもちます。これが十分に分泌されていないと、気分の調節やこだわり行動の調節が難しくなります。

 

GABAとは、脳の信号の伝達を抑える作用を持ちます。これが十分でないと、信号の伝達が暴走し、癇癪をおこす、感覚過敏になるといった症状があらわれます。

 

これらのホルモンを補充するには、まず第一に偏りのない適切な食事を摂ることが肝心です。ただし、栄養の吸収率、腸内環境や特定の栄養素に対するアレルギー反応があるなど、食べ物に関しての個人差は無視できないので、万能のレシピが存在するわけではありません。

 

ADHDに多い二次障害

 

仮に、ADHDの子どもを取り囲む環境が悪いものであった場合、たとえば、家庭内の体罰や虐待(ネグレクト、教育虐待、暴言や暴力の目撃、性的虐待など)が多いと、素行障害反社会性パーソナリティ障害など、非行に走るといった反社会的な特性が増える傾向にあります。

 

あるいは、たとえ家庭内の虐待が無くても、学校でイジメを受けるといった迫害体験が多いと、抑うつ、不安障害などが増え、最終的には

 

BPD(境界性パーソナリティ障害)

AvPD(回避性パーソナリティ障害)

DPD(依存性パーソナリティ障害)

NPD(自己愛性パーソナリティ障害)

 

などのパーソナリティ障害へと発展する傾向にあります。

 

つまり、家庭内での愛着結合が上手くいかなければ非行に走り、学校での迫害体験が多いと不安障害や各種人格障害へと発展してしまう危険性があるのです。そういった子ども達は高校を中退する、刑務所へ入所するなどといったリスクも高まります。

 

ADHDに間違えられやすい病気

 

表に現れる症状はADHDに似ているが、実際は別の病気だった、ということは十分に起こり得ます。もしそうなった場合、当然治療方法も変わってくるので慎重に判断する必要があります。

 

ADHDと似たような症状を引き起こす身体疾患は以下の通りです。

 

・先天性脳異常

・頭部外傷

・人ギョウ虫

・てんかん

・聴力障害

・視覚障害

・甲状腺機能障害

・睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、むずむず脚症候群など)

・低血糖

・貧血

・鉛中毒

・脆弱X症候群

・胎児性アルコール症候群

・フェニルケトン尿症

・神経線維腫

・精神発達遅滞

・脳腫瘍

 

などです。

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