columnコラム

親のしつけ方が悪いと子どもがADHDになる?

皆さんは、言うことを聞かない子どもや、ルールを守らない子どもに対して、どのように接していますか?

 

 ADHDの子どもには、適切な支援が必要です。それが証拠に、目につきやすい問題行動にばかり気を取られ、それを消そうと必死になってもうまくいかない場合が多々あるはずです。たとえば、ADHD児の大半が抱える症状として、不注意、多動、衝動性の高さなどがあると思います。

 

  •  教室でじっとしていられない子どもを、自分の席に座らせようと躍起になる
  •  すぐに走り出して道路に飛びたしてしまう子どもに、きつく注意を繰り返す
  •  友達とトラブルになると叩く・蹴るなどの暴力に出る子どもを、叱る

 

 こうした対応は、その場に落ち着きを取り戻させるため、あるいは、ADHD児を危険から守るためにも、時と場合によって必要な態度ではあります。

 しかしながら同時に、問題行動を押さえつけて消す、注意する、叱る、といった対応そのものは、ADHDの症状に対する治療にはならないということも、知っておかなければなりません。いくらきつく叱っても、症状は改善するどころか、むしろ悪化する可能性さえあるのです。ADHDのお子様を育てている親御さんであれば、厳しく注意してもなかなか子どもが大人しくならずに、手を焼いてクタクタなってしまう、なんてことは身に覚えがあるでしょう。

 扱いにくい子どもを育てておられる親御さんには、「お疲れ様です」と日々の努力を労う一方で、同時に、子どもとの接し方を見つめ直し、外に援助を求めませんか?というのが、今回のお話になります。

 

生まれつきの特徴としてのADHD

 

 どんな人も、生れながらにして持つ特徴があります。

 たとえば、皮膚の色が薄くて日差しに弱い。胃腸が弱くて、お腹を下しやすい。鼻の粘膜が敏感で、鼻炎になりやすい。

 もともと骨が太くて、筋肉がつきやすく、たくましい人もいます。一方で、骨が細く、食べてもなかなか太れない、細身の人もいるでしょう。髪の毛が太くてクセ毛の人もいれば、柔らかく細い直毛の人もいます。

 このように、身体のつくりには個体差があって、誰ひとり同じ人間はいません。

 

 身体と同じように、ADHDもまた、ある種の「体質」と言えます。なぜなら、彼らの脳には、もともと機能に不具合があったり、並の人々よりも刺激に弱い部分があるからです。つまり、生れながら多動になりやすく、衝動性が高く、不注意になりやすい「体質」なのです。さらに、そういったもともと持っている「体質」の影響で、人とのコミュニケーションがうまく取れない。ぐっすり眠れない。不安に陥りやすい。といった症状が強く現れることもよくあります。

 

 ただし、全てが「生まれつき」ではないところも、ADHDを理解する上で重要なポイントとなります。

 

後から強まるADHDの症状

 

 定型発達の子どもよりも、ADHDの子どもの方が、親や教師の手をやかせる「扱いにくい子ども」に見えるのは確かです。ADHD児たちは、生まれ持った「体質」ゆえに大人しくじっとしていることが苦手ですし、大人から受けた注意を聞くのも苦手です。これは「体質」で「個性」なため、お腹を下しやすい子どもに「下痢をするな」と言うのと同じくらい、単純な叱責ではどうにもならないのです。

 

 ところが、ADHD児の正しいしつけ方、教育の仕方をきちんと知って実践している大人は少ないのが現状です。学校の先生でさえ、ADHD児との接し方は手探りなのです。このように、社会や大人の側の対応が遅れているため、ADHD児は言うことを聞かない問題児として、大人たちをいらだたせ、怒らせてばかりになります。

 こうして、大人から怒られてばかりな状況が続くと、ADHD児は「いつも叱られる自分、褒めてもらえない自分、人をいらだたせる自分」という否定的な自己イメージを強く持って育つようになります。その上、たとえば子どもの教育を巡って両親が不仲になったり、別居、離婚、それに伴う転居、転校などといったストレスの強い出来事が重なったり、学校でいじめを受けたりすると、ADHD児の心には深い傷ができてしまいます。

 こうした傷によって、ADHD児は次第に反抗的な態度を取るようになったり、逆に他人を避けたり、うつ病や不安症を抱えるようになります。この態度は、外から見ればADHD児をさらに「問題児」に見せてしまうため、周囲からの理解を得ることはさらに難しくなるでしょう。

 

 つまり、たとえADHDが「体質」であり「個性」なのだとしても、早い段階で周囲の大人が適切にサポートすれば症状は改善します。一方で、ADHD児の表に現れる症状にしか目を向けず、問題児とみなして「根性を叩き直す」ような躾をしてしまうと、それこそ彼らをいっそう社会に馴染まない不良にしてしまうリスクが高まるのです。

 

 私たち大人がまず最初に持つべきは、ADHD児たちは反抗的で暴力的な困った子どもだ、という視点を捨てることです。彼らが何度も同じ失敗や間違いを繰り返したり、人の気持ちを逆撫でするような行動ばかり取るのは、彼らが狙ってそうしているというよりも「誰のせいでもない」症状なのだと認めることが、支援・治療の第一歩です。生まれ持った体質としてのADHDを改善するために、後から周囲ができることは、決して少なくありません。大人にできるのは、彼らを逆境や不遇な立場に追いやらないために、良い環境を用意して、悪循環を断ち切ることです。


あなたのパートナーもADHD?

 

 以上みてきたように、ADHD児とは、生まれ持った体質として、不注意・多動・衝動性の高さといった症状を抱えていると同時に、周りが適切なサポートをしなければ、その症状が悪化して、やがては社会不適合者になるリスクを抱えていることがわかります

 

 たとえば、対人関係がうまくいかずに周囲とトラブルばかり起こしている人、仕事が長続きしない人、自己評価が異様に低い人など、「もしかしたらADHDなのかな?」と思えるような人はいませんか?ADHDへの理解は、つい最近進み始めたばかりなので、今の大人たちの中には、子どもの頃に「問題児」扱いされて不遇な環境に置かれていた人も少なからず居るはずなのです。

 

 仮に、本当はADHDだったけれど見過ごされてきた大人が親になった場合、遺伝的に子どもがADHDを受け継ぐ可能性も決してゼロではありません。ただそれ以上に、親自身が適切な治療を受け損ねたADHDであると、いざ我が子に接する際に、偏ったこだわりの強い育児や、激しい気分変動によって一貫性の乏しい養育をしてしまう可能性が高まることに、注意しなければならないでしょう。

 ADHD児にとって、親自身がADHDである場合は、症状が悪化するリスクが高まります。もしも、親御さん自身、あるいはパートナーの性格にADHDのような特徴がみられる場合は、外からのサポートはより必須のものとなります。

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