columnコラム

子どもの発達と感情のコントロール能力が将来性を大きく変える その2

感情コントロールの身につけ方

 

 人には、赤ん坊の内からそれなりの個人差(個性)があります。

 一部の研究者によれば、赤ちゃんによっては、感情を抑制する力が他の赤ちゃんたちに比べて高い子もいるそうです。このように、赤ん坊の頃から「大人しい」性格なのか、それとも「元気いっぱい」な性格かどうかという違いは、その子の自己抑制の力に多少なりとも影響します。

 とはいえ、この「自己抑制」の力は、生まれ持った力量のまま変わらないという訳ではありません。子供たちは、自分の置かれた状況に応じた感情の出し方や我慢の仕方を、学ぶことができるのです。

 たとえば、ある孤児院では、一部の子どもたちだけを良質な養育を行ってくれる里親のもとへ預けました。それからしばらくして、彼らは孤児院に残っていた子どもたちよりも、際立って高い感情コントロールの力を身につけたというエピソードもあります。

 つまり、個人が生まれた時から「先天的に」持っている気質も感情抑制に影響を与えますが、「後天的に」与えられる環境もまた同様に大切だということが分かります。

 

環境と脳の発達

 

 人間は、他の動物に比べて、非常に未熟な状態で生まれてきます。親のケアなくしては何もできず、立ち上がって歩けるようになるまで一年以上もかかるほどです。これは、一部では「生理学的早産」と呼ばれるほどで、人間にとって、生まれた後にどのような環境に置かれて育つかが、その後の発達に重大な影響を及ぼす理由でもあります。

 

 当然のことながら、未熟なのは身体だけではありません。脳の発達は、いくつかの段階に分けて説明することができます。まずは、生まれ持った遺伝子で決められた「発達のプラン」があると想像して下さい。プラモデルを組み立てたり、家を建てるときの設計図に当たるのが遺伝子の情報です。最初、人はこの遺伝子の持つプランにしたがって成長しようとします。

 次に、環境があります。遺伝子を「設計図」と言い換えるならば、環境は「材料」と言い換えられるでしょう。毎日の生活の中で、子どもが何を経験するのか、それによって、彼らを形づくる材料も変わってくるのです。

 

臨界期

 

 いくつかの能力は、ある一定の期間に学習すると、他の時期に学ぶよりも簡単に身につけることができます。分かりやすい例を上げるならば、幼少期に英語圏に住んでいた帰国子女は、日本で生まれ育って学校で英語を学んだ子供たちや、大人になってから語学留学に行った人たちよりも、英語を理解できます。

 このように、発達のある段階で最も効率よく学習できる時期というものがあり、その時期は「臨界期」と呼ばれています。この「臨界期」の間であれば、まるで乾いたスポンジが水を吸い取るように、すんなりと学習ができるのです。一方で、「臨界期」を過ぎると、学び取る力は低下します。全く身につかないわけではないにしても、少しのことを学ぶのにより多くの時間と労力を費やさねばならないでしょう。先ほどの英語の例をとってみるならば、大人よりも幼児の方が、耳に飛び込んできた音を真似るのが上手く、難しい解説を読んだり、授業を受けなくても、英語の発音の特徴や文法の仕組みを早く覚えていきます。

 なぜ、大人にとって難しい外国語の習得を、幼児は容易くできてしまうのでしょうか。それは、私たち大人が、日本語であれば日本語を「母語」としてしっかり身に付けてから、その「母語」のルールを一度壊した上で別の外国語を学ぶからです。

 つまり、一度身体に染み付いたものを取り払ってから別のことを学ぶのは、何も知らない状態から始める学習よりも大変ということです。そして、これは外国語の学習に限った話ではなく、脳の発達のさまざまな面に言えることです。

 

 先ほどの、里親に引き取られた孤児たちのエピソードにもまた、この臨界期の絡んだ話があります。里子として丁寧なケアを受けた子どもたちの中でも、引き取られた時点で2歳未満だった子どもたちは、親元で育った平均的な子どもたちに匹敵する感情抑制の力を身につけることができました。そのことから、感情抑制の臨界期は2歳と考えられます。

 

 しかし、この孤児院の例があるからといって、2歳を過ぎた子どもたちが感情抑制の仕方を身に付けられないというわけではありません。「臨界期を過ぎてしまった」というのは、今後の学習には根気と時間が余分に必要になる、という意味なのです。人間の脳には、私たちが自覚している以上の柔軟性があり、環境に適応しようとする力はとても強いのです。そして、この力もまた、加齢と共に緩やかに低下していきます。

 

HQと臨界期

 

 外国語の習得は、難しい表現をすると「言語的知性」にあたる能力です。人間には、少なくとも言語以外に「絵画的知性」、「空間的知性」、「論理数学的知性」、「音楽的知性」、「身体運動的知性」があると言われています。

 人に個性があるように、音楽が得意な人もいれば、数学が得意な人もいるでしょう。それが、持って生まれた遺伝子の設計図からの影響とも言えます。また、それぞれの能力は、互いに無関係ではなく、ある能力を伸ばすと他の能力が下がるといった具合に、それぞれの能力の間で競争が起きることもあります。

 しかし、ここで「どの能力を伸ばすのか」といったことで悩む必要はありません。これら六つに分けられた能力だけに限らず、感情抑制の力も、それら全体をまとめるHQ(人間性知性)を伸ばすことで、間接的にケアができるからです。

 

 ただし、HQそのものにも「臨界期」があります。

 人の性格(人格)の形成は、およそ8歳が臨界期と考えられており、その時期までにかたち作られた性格は、一生その人の特徴となります。もちろん、性格には遺伝子であらかじめ決められた部分もありますが、8歳までにどのような環境で育ったかは、その子どもの人となりを左右する重大な時期なのです。HQは、人格形成と同様に8歳が臨界期と考えられています。特殊な事例を参照にして長く見積もっても、11歳までが人間性知性の臨界期です。

 といっても、他の臨界期と同様に、HQの臨界期もまたひとつの目安でしかありません。8歳を過ぎたからといってHQをはじめとする能力が伸ばせないわけではないのです。逆に言えば、遅くてもHQや他の能力を伸ばす努力をしなければ、社会生活を送る上での困難をさけ、うまくやっていく力はいつまでも育たないのです。

 

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