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未就学児の脳を最適化させ、将来性を最大限に高める科学的な方法 【後編】

2018/12/27

 これまで、3回に渡って、子どもたちが社会に適応するための力をつけさせる具体的な方法を紹介してきました。

 子どもの社会性を高めるには、(1)自己制御、(2)共感力、(3)言葉によるコミュニケーション能力、これら三つの力を鍛えるべきとは繰り返しお伝えした通りです。

 今回は、その具体的な方法を紹介する最後のまとめになります。


併せて読みたい記事

未就学児の脳を最適化させ、将来性を最大限に高める科学的な方法 【前編】

未就学児の脳を最適化させ、将来性を最大限に高める科学的な方法 【中編その1】

未就学児の脳を最適化させ、将来性を最大限に高める科学的な方法 【中編その2】

 

11.年長の子どもや大人との“ごっこ遊び”を促す

 就学前の幼年期を通して、“ごっこ遊び”は、友達との関係を築くために最も重要な方法のうちの一つです。“ごっこ遊び”ができる子どもたちは、そうではない子どもたちに比べて、口論やコミュニケーションに抱える問題行動が少ないと言われています。

 ですが、気をつけなければならないこともあります。それは、幼い子どもたちは“ごっこ遊び”をする際に求められる様々な能力を、今まさに学んでいる途中にあるという点です。たとえば、自分とは異なる他者の物の見方をどう理解するのかといったことや、「もしも〇〇したらどうなるか」を推測する力などです。

 つまり、幼児は自分自身から離れた他者の視点や第三者の視点からの物事の見え方や、現実とは異なる状況を仮定した上で起きることを想像する力が、まだ未熟なのです。そのため、同年齢の幼児たちのみで“ごっこ遊び”を始めると、彼らの視野は非常に狭いものになりがちです。

 それとは逆に、幼児たちが年長者と“ごっこ遊び”をした場合、彼らの遊びはより洗練され、難しいけれどもチャレンジしがいのある内容になり、彼らに学ぶ機会を多く与えるものへと成長します。たとえば、幼児たちが大人と一緒に“ごっこ遊び”をすると、彼らが遊ぶ時間はより長く複雑なものになります。

12.子どもの社会性を高めるようなテレビ番組を選ぶ

 家庭環境によっては、なんとなくテレビがついていることもあるでしょう。しかし、どんなテレビ番組を見せるかが子どもの発達に及ぼす影響は、決して小さいものではありません。子どもの成長が番組の内容によって左右されることを示した研究もあるほどです。

 その研究では、無作為に選ばれた家庭に、そこで彼らが普段観ている番組よりも、より暴力的ではない番組を観させるという実験が行われました。すると、半年後には、その家庭の子どもたちは以前よりも高い向社会的な力を示し、問題行動も減ったのです。

 テレビ番組に限らず、現代ではパソコンやスマートホンでネット動画が観れるなど、私たちは、以前よりも映像に触れる機会が増えた社会で生活しています。そのため、どのような映像を見せるかは、以前にもまして大人が良い方向へ誘導する気配りをしてあげる必要があります。

 先の実験のように、暴力的な番組から暴力的ではない番組へと切り替えるのも大切です。しかしながら同時に、内容以前の問題として、映像が過刺激なものでないかどうかもチェックした方がよいでしょう。

 過刺激とは、場面の切り替えが多かったり、動きの激しいカメラワークをしている映像のことです。これは、「フラッシュカード」(高速でカードをめくって単語などを暗記させる学習方法)が脳にもたらす副作用と同じ悪影響をもたらします。したがって、たとえ暴力的なセリフや行動がない内容であっても、場面の切り替えが多い番組や動画は避けるべきです。

 

13.“分け合うこと”は、状況によってやりやすさに違いがあると気づいてやる

 “分け合うこと”は、幼児の社会的な力に必要な基礎的な要素なのかといえば、そうである場合とそうではない場合があることに注意しなければなりません。

 さまざまな共有のうちでも、幼児が比較的実践しやすいものと、そうではないものがあるのです。仮に、美味しいお菓子や魅力的なオモチャが沢山あれば、それを友達に少し分けても失うものは少なく感じられます。ところが、“共有”することによって大きなものを失うとしたらどうでしょう。たとえば、オモチャを友達に貸してしまったら、自分自身はそれで遊ぶことができない場合は、どうなるでしょう。

 これこそ、研究者たちが呼ぶところの「損失の大きな共用」です。そして、私たちは、大人ですらこのような共有はしぶしぶ実行している、という点を心に留めておくべきなのです。

 大人ですら「損失の大きな共有」は気が進まないのですから、少し先の未来すら想像するのが難しい幼児にとっては、なおさら苦しい行動であることは言うまでもありません。仮に、幼児に向かって「そのオモチャをお友達に貸してあげましょうね」などと言おうものなら、その子は、自分のオモチャが果たして無事に帰ってくるのかどうか、それすらうまく予測できず混乱するでしょう。そして、時として貸したオモチャは帰ってこない場合もあるのです。

 多くの子どもたちは、“分け合うこと(共有)”を巡ってトラブルを経験します。そして、そのような幼児期を終えた子どもたちは、以前よりも共有を避けるようになりがちなのです。

 そこで、子どもに共有を促す時は、大人は気を長く持って、できるだけ心地よく分けることができるよう誘導してあげなければなりません。子どもの考えを汲み取ってやり、「損失の大きな共有」の場面で分けるよう強要などしないよう気をつけましょう。

 さまざまな研究や実験が、子どもたちの寛容さは、強制されることなく“分け合うこと”の喜びを教えられた時にこそ育つと示しています。もしも、大人たちが分け合うことは良いことだ、との結論ありきでその「良い行い」を無理強いしてしまったら、後々、子どもたちは共有する気を自ら進んで起こさなくなってしまうのです。

 次に、あなたの子どもにお友達と遊ぶ機会が訪れたら、我が子が気に入っているオモチャは先に隠して、遊びの場面に持ち出さないのが賢いでしょう。

 

14.嘘や反論は悪気があっての行動ではないと親が理解する

ハリウッド映画などで登場する子供というのは、映画の中では大人よりも賢く、機転が利きます。ですが、実際の子供はこのようにうまくは行かないことがほとんどです。

 たとえば、幼児にとって他者の気持ちや考え方を想像するのは、とても難しいことです。特に、4歳児以下の子どもたちのほどんどは、他の人は自分とは異なること(たとえそれが客観的な視点から見れば間違っていることであってもを信じている可能性もあるという概念を完全には理解できません。

 したがって、幼児が「嘘」の概念を理解できずに混乱したとしても不思議ではないのです。そのため、幼児は、たとえ語り手が真実だと思い込んでいる話であっても、全ての間違った話は「嘘」であるとみなしがちなのです。

 そして、「嘘」は悪いことであるとだけ理解している間の子どもたちは、それらの言葉が他者にどのように受け取られるかまでを予測する能力に欠けています。嘘をつくことで与える印象や、道義性のある嘘は、彼らが今度学んでいかなければならないことです。

 もしも、幼児が何か失礼な発言や、痛ましい言葉を発したら、それは個人へ向けられたものとは捉えない方が良いでしょう。しかしながら同時に、無視するべきでもありません。言葉が、時として他者の心を傷つけるということを説明する機会をつくるべきなのです。それによって、子どもが言葉の持つ力を洞察できるようになったら、その子の社会的な力はより良い方向へと改善されるでしょう

 

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