columnコラム

未就学児の脳を最適化させ、将来性を最大限に高める科学的な方法 【前編】

 まだ小学校へ上がる前の年齢の子どもたちを対象に、彼らが大人になってから社会でうまくやっていくための力を高める方法を紹介します。

 彼らの社会性を向上させるために鍛えるべき力は、主に三つあります。

 1. 自己制御(自分自身を律する力)

 2. 共感力

 3. 言葉によるコミュニケーション能力

 

 多くの大人たちは、子どもの社会性を高めるためには、同い年の仲間同士で多くの時間を過ごすのが良いと思い込みがちです。しかし、それは正しくはありません。

 確かに、幼稚園や保育園、公園などで同い年の友達と遊んだり、一緒に何かする事は、子どもの人生を豊かにします。ところが、“どうやって他の人たちと共に生きていくのかを学ぶ時期”という意味で「社会性を高める」と表現するならば、それはただ単純に「社交的」になることとはわけが違ってきます。同い年の子ども同士で過ごす環境は、「協力関係」や「分け合う」ことや、自分自身の感情をコントロールする方法を学ぶためには、必ずしも最適とは言えないのです。

 実際には、むしろ反対の事が起こります。同年齢の子どもたちだけで長時間を共にしすぎると、問題行動が増えてしまうのです。たとえば、アメリカの幼稚園児を対象にした研究では、大人によるケアが不十分な子どもだけの環境で長時間を過ごすと、彼らの間では問題行動が目立つようになるのです。

 私たち大人は、幼児たちの問題行動の原因について考えるとき、それは彼らが未熟だからだと簡単に結論づけてしまいがちですが、それも正しくありません。というのも、社会の側が幼児たちにどのような環境を与えるかによっては、問題行動を大きく減らせるからです。

 それでは、一体どのような環境を用意すべきなのでしょうか。

 ここまで読まれた方であればすぐに気づくかもしれません。幼児たちの育つ環境に必要なのは、やはり、年長の子どもたちであり、大人たちなのです。

 幼児たちは、年上のお兄さんやお姉さん、親戚や保護者、教師などを振る舞い方を手本にします。年長者の姿を通して、他者と協力することや、他者の価値観に理解を示すことができるようになります。共感や同情を示したり、困っている人に向かって助けの手を差し伸べたり、寛容さを身につけられるのも、年長者の教えがあってこそです。子どもたちは、私たちが気づいている以上に、大人たちの礼儀作法などを観察しているのです。

 

同い年よりも年上が良いのはなぜか

 

 たとえば、何かトラブルが起きた時に、同い年の子どもたちの間だけでは良い解決策を思いつくのが難しいでしょう。また、感情を言葉で説明したり、その感情をうまく鎮めるのも、彼らだけではうまくできないでしょう。同い年では、誰もが似たり寄ったりの発達のレベルにあるため、自分たちに欠けている力が何かをきちんと知り、補い合うだけの余力がないのです。

 その点、大人たちや年長の子どもたちでは状況が異なります。私たちは、感情や認識について、幼児よりもずっと多くの対処法を知っています。自分が胸に抱いた感情を言葉で説明することもできますし、また、どうすればその感情を平常心に戻して冷静になれるかも心得ています。私たちは、状況に応じて振る舞うことができます。そうした洞察力や適応力は、幼児たちの将来に必要な力を教えるためにも欠かせません。より具体的には、次のような事が教えられるのです。

 

 ・ネガティヴな感情との付き合い方

 ・他者の感情の捉え方

 ・他者の価値観の捉え方

 ・共感や同情の表し方

 ・友達の作り方と付き合い方

 ・暴力に頼らずにトラブルを解決する方法

 ・助け方、償い方、許し方

 

 さて、それでは私たちは、幼児たちの前でどのように振る舞い、どんな風に彼らと関われば、上に挙げたような事を教えられるのでしょうか。

 

 1. 子どもに愛情を示し、安心感を与えられる関係を築くこと

 

 親が子どもに対し、注意深く目を向け、彼らに関心を持っていることをきちんと態度で示せば、子どもは親を頼れる存在として認めるようになります。子どもが何かを必要とする時や、困った時に真っ先に駆け寄って心のより所でいられるよう努めれば、親子の愛着関係はより強く確かなものとなります。

 そして、親子の間での愛着が強い子どもほど、社会性もより高くなることが分かっており、様々な研究から次のような事実が明らかになっています。

 

 ・確かな愛着関係が親子の間で築けている2~3歳の子どもたちは、社会的な問題を解決する力に長けていた。

 ・愛着関係がしっかりしている子どもは、他者への同情や共感をより強く示す。また、悩んでいる人を助けようとする。

 ・愛着関係がしっかりしている子どもは、他者と分け合う行動をより多く取ることができる。また、他者により寛容な態度を示すことができる。

 

 どうして、愛着関係が社会への適応力と関係しているのでしょうか。あるいは、それは単に適応力の高い親の遺伝子を、子どもが受け継いだだけではないのか。そう考える方もいるかもしれません。

 確かに、遺伝的な影響もあります。とはいえ、やはり環境から受ける影響も決して小さくはありません。というのも、遺伝子は、それだけでは何かを発揮することはなく、必ず環境からの影響を受け、それに応えるからです。

 たとえば、社会への適応力が高い遺伝子を受け継いだ子どもでも、何か自分を脅かすような怖いものに晒されている環境で育てられれば、親切さや寛容さはうまく育たないでしょう。不安や恐怖を感じている中で、社交的でいられるはずがないからです。

 つまり、子どもと愛着関係を築くことは、彼らにストレスの少ない心地よい環境を与えることに他ならないのです。そして、日常的に信頼できる年長者から安心感を与えてもらってこそ、彼らは自分を認め、自信を持てるようになるのです。その自己肯定感が、社会への適応的な行動を取るための原動力になるのです。

 

中編へ続く

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