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発達障害は「個性」であり、改善もできる

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 保育園・幼稚園で集団行動ができない。

 学校の勉強についていけない。

 家庭でも育てにくさを感じており、叱る場面が多くなっている。

 

 こうした問題から、専門の医療機関などを受診して、医師に自分の子どもが発達障害であると診断された時、保護者はどのようにそれを受け止めるべきでしょうか。

 ひとによって考え方はさまざまですから、たったひとつの正解などありません。

 しかし、発達障害に対する間違った考え方はあげることができます。

 

 それは、「発達障害は改善不可能な病気であり、後からはどうすることもできない」という考えです。これだけは、間違っています。

 

 今回、タイトルを『発達障害は「個性」』と題したのは、なにも「発達障害は改善できないものだから、それを“個性”としてそのまま受け入れよう」と言いたいからではないのです。

 むしろ、発達障害は、社会からの早期介入など適切なサポートによって大きく「改善」することができます。

 

 「個性」なのに「改善」?と疑問に思われる方もいるかもしれません。それはもっともなことです。それでは、その理由をこれから説明していきましょう。

 

なぜ「障害」と呼ばれているのか

 

 発達障害が「個性」であるならば、なぜ「障害」と呼ばれていて、「改善」が必要なのでしょうか。

 理由は、発達障害というものが、いわゆる「定型発達」の子どもを基準にして造られた学校教育のカリキュラムや、「健常者」を基準にして造られた社会のルールに対して、相性の悪い「個性」だからです。

 

 学校や社会といった、周囲の環境と折り合いの悪い「個性」は、それだけで悪目立ちしてしまい、社会の側からつまはじきにされてしまう機会が増えます。事実、発達障害児は親や学校の先生から叱られることが多く、また同級生たちからイジメを受けることも珍しくありません。本来ならば、発達障害児に対してそんな態度を取る周りの方にこそ問題があるのですが、他の人の考え方や態度を変えるのは非常に難しいのが現実です。

 

 仮に、自分の子どもが発達障害との診断を受けた場合、私たち保護者がすべきことは、子どもが将来大人になって、ひとりだちをむかえた後に苦労しないようサバイバルする力を身につけさせることです。

 親は、たとえどれだけ子どもを愛して頑張っても、最後まで世話し続けるわけにはいきません。大きくなったらいずれ親元から離れる子どもたちが余計な苦労をしないためには、彼らが自立できるようサポートすることが大切です。

 

愛着障害から適応障害へ

 

 子どもの健康的な成長に最も必要なものは、自分を保護してくれる相手、つまり、親をはじめとする保護者から、安心感を得ることです。

 

 親がそばに居てくれて、自分を見てくれている。守られている。この実感を得られるからこそ、子どもたちは、哺乳類が持っている“好奇心”という力を発揮して行動できるようになります。そして、幼児期の後半になると、彼らは親がそばに居なくても、親のイメージによってパニックを起こさずに行動できるようまで成長します。

 

 ところが、このような「自分には親という安心できる場所がある。自分は守られている」という実感が得られないままに育ってしまうと、愛着形成が十分にできず、子どもの気持ちはとても不安定なものになります。

 愛着が十分に育てられていない子どもは「愛着障害」と呼ばれます。その、最も分かりやすい例は、児童虐待の家庭で育った子どもたちで、彼らは親からの心理的・身体的な暴力を受けたり、育児放置といった態度を取られて育つため、深いダメージを負っており、本人のせいではない様々な問題行動を取るようになってしまいます

 そして、虐待を受けて育った子どもたちの抱える問題行動は、専門家でも一瞬判断を迷うほど、ADHDをはじめとする発達障害とよく似ていることがあります。

 実のところ、被虐待児の親を調べてみると、親たちもまた虐待を受けて育ったり、親たち自身も軽度の発達障害を抱えているという場面があるそうです。この場合は、親子で治療が必要になります。

 

 さて、愛着障害の話に戻しましょう。

 

 乳幼児期に親から十分な安心感を得られずに育った子どもは、小学生くらいの年齢になると、「反抗挑戦性障害」と呼ばれる問題行動を抱えるようになります。これは、大人の言うことを聞かず、わざと反抗的な態度をとって、親や教師を挑発する態度のことで、小学生から中学生の、いわゆる「第二次反抗期」と呼ばれている時期も、これにあてはまります。

 この思春期が過ぎて、青年期に入ると、今度は過剰な自尊心の低さや、抑うつといった症状を抱えるようになります。不登校になったり、対人関係や仕事がうまくいかなくなり、家に引きこもりがちになる、といった社会への適応障害に追い込まれてしまうのです。

 

 幼少期の愛着障害、学童期の反抗、青年期の適応障害。

 

 これらは、発達障害に対して適切なサポートが施されなかった場合に辿る、良くない人生のモデルと考えられます。そして、青年期の適応障害にまで至ってからの治療は、幼少期の治療よりもはるかに難しいと言わざるを得ません。

 

 繰り返しになりますが、早期介入こそが発達障害改善のために最も良い対応です。早く見つけて特別な支援をすることで、彼らの「個性」は社会からはじかれ押しつぶされることなく、「他の人とは違う良いところもある」と守ることができるのです。

 

 それでは、幼少期の愛着障害を避けるためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか。

 

 それは、定型発達の子どもと比べて、自分の子どもは出来ないという思いにとらわれ過ぎないことから始まります。

 

 発達障害児は、表に出る問題行動のせいで、しばしば叱られがちになりますし、不器用さによって「出来ない子」として扱われてしまう機会は増えます。

 そういった悪いイメージや扱いを受けるうちに、彼らの自尊心は低まり、学童期の反抗へと繋がっていくのです。

 したがって、私たち大人がすべきことは、発達障害児に「他の人と同じように」課題をこなす力を身につけさせるのではありません。そうではなく、課題をクリアしていくなかで、彼らの自尊心を高め、意欲を上げさせ、自分には自分を思いやって愛情を持って接してくれる味方がいる、と感じさせることがとても大切になります。

 

 自尊心、意欲の高まりが発達障害児の力を引き出し、気づけば「他の人」以上になっている可能性もあるのです。

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