columnコラム

【うちの子供が話さない】人の進化に合わない教育や育児がある?

2018/09/13

 先日、うちのメールボックスに、某英語教育機関からのメールマガジンが届いていました。

そこは、子供たちに早期英語教育を施し、将来は英語でのコミュニケーションが出来る大人に育て上げる、という目標を掲げています。何十年の歴史を持つ英語塾のフランチャイズで、充実したカリキュラムと教材は、目移りするほどです。

 

 世界の国際化(グローバル化)が進んで久しい現代社会では、世界共通語の英語が使いこなせることは、確かに大切かもしれません。

 

 実際、日本の小学校では、2020年度から、小学5・6年生に対して「英語」が必修の科目になります。つまり、これから「英語」は国語、算数、理科、社会などと同じ扱いを受けるわけです。さらに、これまでは5・6年生を対象としていた「外国語活動」という「英語に触れる」取り組みは、小学3・4年生に対して実施されるようになります。つまり、義務教育の中で、英語教育が2年分前倒しになるということです。

 

 ところで、この3・4年生から始まる「外国語活動」と、5・6年生から始まる「英語」は、何が違うのでしょう。

 それは、「外国語活動」が聞く・話す(リスニングとスピーキング)を主な内容としているのに対し、「英語」は読む・書く(リーディング・ライティング)を学習する、という違いです。

 このように「聞く・話す」を先に身につけ、「読む・書く」を後回しにする学び方は、実は、人間の発達や進化と非常に深い関係があります。

 

「聞く・話す」と、進化的に予想している環境

 

 ちょっと話は逸れてしまいますが、みなさんは、生まれたばかりのヒナ鳥が「最初に見たものを自分の親だと思い込む」というお話をご存知でしょうか。「ヒナの刷り込み」などと言われており、有名な話かと思われます。

 たとえば、生まれたばかりのヒナ鳥が最初に見たものがあなたであれば、そのヒナはあなたの後をついて回るようになります。なぜそのようなことが起きるかというと、ヒナ鳥は、「生まれたらそばに親が居て、親は動く。その親のあとをついて行く」ことを、“進化的に予想して”生まれてくるからです。そうすることが、生きるためには必要不可欠だと、あらかじめ環境を予想しているのです。とても簡単な表現をしてしまえば「習性」とも言えるかもしれません。

 

 さて、先ほどの、小学生への英語教育の話に戻りましょう。なぜ「読む・書く」よりも、「聞く・話す」学習が先にあるのか。それはもちろん、「聞く・話す」方がより簡単だからです。それでは、なぜ読み書きよりも、「聞く・話す」ことが簡単なのでしょう。

 それは、私たち人間が言葉を「聞く・話す」ことを“進化的に予想して”生まれてくるからです。つまり私たちは、人の声を聞いたり、おしゃべりをすることを、すでに自然なものとして身につける前提で生まれてくるのです。

 生まれたばかりの赤ちゃんも、しばらくすれば親の呼びかけに返事をしたり、何か伝えたそうに意味の分からない声を出すようになります。それはやがて、親への質問や呼びかけに変わり、親との会話へと発展していきます。

 つまり、人間にとって「聞く・話す」ことは、わざわざ教えられなくても、親をはじめとする他者とのやり取りを通じて、自然と身につけることができる力なのです。

 

 思い出してみて下さい。

 私たちは、母語を話すために、何か特別な訓練をしたり、どこかに通ったりしたでしょうか。多くの人は、親と話すうちに自ずと身につけたはずです。言葉を話す環境は、私たちにとってあらかじめ想定内のものなのですね。

 それに比べて、読み書きは歴史も浅く、まだ私たちには十分に馴染んでいません。私たちは、読み書きを進化的に予想して生まれている訳ではないのです。だから、平仮名も、カタカナも、漢字も、勝手に書けるようにはならないのです。子供達は、学校や塾で読み書きをみっちり勉強する必要があるのは、そのためです。

 

 とはいえ、これはあくまで「母語」についてのお話です。このコラムを読んでいる方達の大半が、日本語母語話者だと仮定してのことなのです。

 私たちが生活している日本社会は、少なくとも日常生活を送る上で、どうしても英語が必要不可欠な場面というのが、それほど多くありません。その気になれば、日本語だけを使って生活することも決して難しくはないでしょう。

 しかしながら、最初に説明した通り、国際化が進んだ現代社会に適応するため、英語学習はますます重要視されています。

 

 一体、子供達をどのような学習環境に置くのが正しいのでしょうか。

 やはり、早くから英語教育を始めて、少しでも遅れを取らないようにするべきでしょうか。

 

 確かに、脳の発達の臨界期は、多少の幅はあるにしても8歳と言われています。ですから、人間の言語に対する自然な学習力がある内に(8歳よりも前に)、英語の「聞く・話す」力を鍛えれば、それなりの効果は得られるでしょう。逆に、大人になってから英会話を始めると難しく感じるのは、臨界期を超えた後に英語を聞いたり話したりする練習を始めるせいです。

 

早期教育の落とし穴

 

 先ほどから、なんども「進化的に予想している環境」といったことを繰り返していますが、要するにこれは、人には自然にしていても身につく力と、わざわざ学ばなければ身につかない力がある、ということです。そして、自然に身につく力をきちんと身につけさせるには、そのための環境が必要、という意味なのです。

 いくら人間に「聞く・話す」力がもともと備わっていたとしても、生まれてから誰もその子供に話しかけなければ、その子は言葉を話せるようにはなりません。

 発達の段階に応じた環境の用意、それが私たち大人のすべきことなのです。

 

 となると、なにも「英語」に限らずとも、早期教育は何が必要で、何が不必要か、慎重に見極めなければなりません。やみくもに、子供に早期教育のDVDを見せたり、学習のためのスマホアプリを与えることは、本当に最適と言えるでしょうか。

 この社会には、親の焦りを利用するような早期教育の売り込みがたくさんあって、それらの多くは、非科学的なものです。つまり、頑張っても効果がない、それどころか、刺激が強くて脳に有害なものさえあります。

 有害な教材を与えるくらいなら、親子のふれあいの時間を増やしたり、外で遊んだり、ただ絵本を読む時間を作る方が、よっぽど子供の健全な発達に繋がるでしょう。

 

 相馬ハウスの教育は、科学的根拠に基づいたカリキュラムによって、お子様の発達を促す環境を整えています。子供の発達に何が必要で、何が不必要か、ひとりでは判断をつけられないようであれば、ぜひ我々にご連絡下さい。

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